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ふでのまにまに

金塊密輸は消費税法の構造的問題

報道によりますと、2020年4月、中部国際空港で貨物と偽り金塊を密輸しようとしていたものが発見され、税関が押収していたことがわかりました。

www3.nhk.or.jp

通常、金を海外から国内へ持ち込む場合、税関に申告して消費税分の金額を納めます。
その後、貴金属店などに消費税込みの価格で買い取ってもらいます。
密輸はこの仕組みを悪用して行われます。
例えば、時価1億円の金塊を国内に持ち込んだ場合、本来は、現在の10%の消費税に当たる1000万円を税関に納め、貴金属店などに消費税を上乗せした価格の1億1000万円で買い取ってもらいます。
しかし、密輸によって消費税を納めずに金を売れば、1000万円を「利ざや」として手にすることができます。
金の価格が高騰すると、それに比例して消費税額も高くなるため、密輸で得られる「うまみ」は増すことになります。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200602/k10012455101000.html

本来であれば、金塊は株式と同じ様に投資や投機の対象であり、消費する性格の資産ではありません。
したがって、購入時に消費税を払わなくていい国の方が世界的に見れば多いのです。
そういう国から日本国内に密輸して売却してしまえば、仮に金自体のレートが同じであっても消費税相当の利ざやを得ることができます。

もちろん、密輸という行為が立派な犯罪であり、道義的にも間違っているのは言うまでもありません。
しかし、消費されないものに消費税を賦課するという制度自体が間違っているために起きる構造的な問題なのは明白です。
ここを改めない政府や国会に対しては疑問を持たざるを得ません。